フォークリフトAIカメラで事故防止|最新の画像認識技術で接触リスクをゼロへ

活用事例 2021.06.02
フォークリフトなどの車両と人の接触防止への画像認識AI活用
目次

なぜフォークリフトによる接触事故が多発するのか?

フォークリフトによる接触事故

フォークリフトによる接触事故


製造工場や物流倉庫では、フォークリフトやトラック、無人搬送車(AGV)、自律移動ロボット(AMR)など、いろいろな車両が日々動いています。
建設現場でもクレーンやダンプカーなどの大型車両が使われており、人と機械が同じ場所で作業することが多いため、事故のリスクが高くなっています。

実際に起きているフォークリフト事故の例

厚生労働省の調査によると、次のような事故が多く発生しています。
・荷物のかげにいた作業員に気づかず接触してしまう
・フォークリフトが方向を変えるときに作業員を巻き込む
・死角から出てきた車両と人がぶつかる
・壁とフォークリフトの間に人が挟まれる
参考:フォークリフト事故統計の紹介 ―厚生労働省労働災害統計―

こうした事故は、「挟まれ」「巻き込まれ」「激突され」といったパターンが多く、全体の約6割を占めています。
なかには命にかかわる大事故になるケースもあるのが現状です。

事故が起こすダメージはとても大きい

フォークリフトの事故が起きると、ケガの治療や補償だけでなく、設備の修理、生産ラインの停止など、大きな損失を企業にもたらします。
だからこそ、現場ではより安全で確実な対策が強く求められているのです。
【関連記事はこちら】

従来の安全対策とその限界

建設現場の安全性

建設現場の安全性


フォークリフトなどによる接触事故を防ぐために、これまで現場ではいろいろな方法がとられてきました。
ですが、どの方法にも「限界」や「使いにくさ」があるのが実情です。

よく使われてきた安全対策

監視員による交通整理
作業員が現場で目視して、人や車両の動きを整理する方法です。
しかし、広いエリア全体をひとりで見守るのはむずかしく、見落としや対応の遅れが起こることもあります。
人と車両の動線を分けるレイアウト設計
人と車両の通る道を分けて事故を防ぐ方法です。
ただ、通路を人が横切ったり、車両が間違って入ることもあるため、「完全な分離」は現実的に難しい場面もあります。
センサーによる検知システム
作業員とフォークリフトにそれぞれタグやセンサーをつけ、一定の距離になるとアラームで警告する仕組みです。
ただし、システムの導入コストが高く、定期的なメンテナンスも必要です。

従来の方法だけではもう限界に…

これらの方法は一定の効果がありますが、「広い現場」「作業の多様化」「人の動きの変化」には対応しきれない場合があります。
そのため、より柔軟でかつ高度な安全対策が求められるようになってきています。

AIカメラの主な機能と特徴

画像認識AI技術を活用した接触防止システム

画像認識AI技術を活用した接触防止システム


アラヤは、画像認識AI技術を活用した接触防止システムを開発しております。
カメラで撮影した映像からAIが人の動きを検知し、車両との距離が一定範囲内に近づくと、アラームや信号で即座に警告を出します。

① 定点カメラ型

敷地内の交差点や通路などに設置された固定カメラで、現場全体の動きを俯瞰して監視します。

・既存の監視カメラでも運用可能
・人と車両が接近するとアラーム
・複数箇所の同時監視が可能
・パトランプ点灯や自動停止機能と連携

【デモ例】
歩行者やバイク、自転車がカメラに映るとAIが四角枠で認識。枠の色が黄色から赤へと変化することで、危険接近を可視化します。

② 車載カメラ型

フォークリフトやトラックなどの車両に直接カメラを搭載し、周囲の人をリアルタイムで認識します。
・死角をカバーしやすい
・移動範囲が広い現場に最適
・センサーやタグ装着が不要
・AI処理は車両内で完結(エッジAI)
【デモ例】
人とAGVが接近する動作をAIが解析。将来的に衝突する可能性があると判断した場合、アラームまたは速度制御を実行します。

フォークリフトにAI搭載カメラを導入するメリット

フォークリフトにAIカメラを取りつける

フォークリフトにAIカメラを取りつける


フォークリフトにAIカメラを取りつけると、ただ映像を映すだけでなく、「人の動き」を見守り、安全を守る手助けができます。
これまでのセンサーや人の目だけでは気づきにくかった場面でも、AIがしっかり見張ってくれるので、事故の予防にとても役立つでしょう。

ここでは、AIカメラを導入することで得られる主なメリットをご紹介します。

人物トラッキングに関する以下の記事もご覧ください

人だけを見分けるAIで誤作動を防げる

AIカメラは、物や影ではなく「人だけ」を見分けて危険を検知できます。
たとえば、棚の角や台車などを誤って人と認識することが少ないため、無駄な警告音が鳴ることも減ります。
誤作動が減ると現場の作業もスムーズになり、ストレスの少ない安全対策が可能です。

警告灯と音で危険をすぐに伝えてくれる

AIが危険を見つけると、ブザー音や警告灯を使ってすぐに作業員に知らせます。
これにより、人や車両がぶつかりそうな場面でもすぐに避けることができ、大きな事故を見前に防ぐことができます。

耳と目で同時に警告が届くため、注意力が散っているときでも気づきやすいのが特徴です。

複数カメラで広い範囲を同時にチェックできる

1台のモニターで複数台のカメラ映像を同時に見られるため、死角が多い現場でも安心です。
たとえば、フォークリフトの前後や左右など、複数の視点から人の動きをチェックが可能に。
これにより、見落としがちな場所でも安全が確保されやすくなります。

場所に合わせて検知エリアを調整できる

AIカメラは、危険だと判断する範囲を現場ごとに自由に設定できます。
たとえば、狭い通路では感知エリアを広くし、作業員の多い場所では重点的に監視するといった調整が可能です。
これにより、必要なところだけを無駄なく見張れるのもメリットです。

危ない運転を自動で見つけて記録できる

フォークリフトの急ブレーキや急カーブなど、「危ない運転」もAIが自動で記録できます。
運転者本人が気づきにくいクセやミスを見える化することで、安全教育にも役立ちます。

運転の質を客観的に見直すことで、事故の予防につながるでしょう。

フォークリフトにAI搭載カメラを導入する際の注意点

フォークリフトにAI搭載カメラを導入する際の注意点

フォークリフトにAI搭載カメラを導入する際の注意点


AIカメラはとても便利で、安全に役立つ道具ですが、導入するときにはいくつか気をつけておきたいポイントもあります。
せっかく設置しても、正しく使えなければ効果が半減してしまいます。
ここでは、フォークリフトにAIカメラを取りつける前に知っておくべき大切な注意点をご紹介します。

人物トラッキングに関する以下の記事もご覧ください

現場の状況に合ったカメラ選びが必要

AIカメラには、「固定型」「車載型」などの種類があり、それぞれ得意な場面が違います。
たとえば、広い交差点を見守るには固定型が向いていて、狭い場所を移動する車両には車載型が便利です。

現場の広さや人の動き、使っている車両の種類に合わせて、ぴったりのカメラを選ぶことが大切です。

カメラの設置場所によって効果が変わる

AIカメラは「見る場所」が決まっているため、設置場所を間違えると、人や車両をうまく見つけられなくなります。
たとえば、棚や壁にさえぎられてしまうと、AIの目が届かず、事故を防ぎにくくなります。

事前に現場をよく観察し、「どこで危険が起きやすいか」を考えて取り付けることがポイントです。

AIの特性や限界を理解しておく

AIはとても賢いですが、人間と同じようにすべてを完ぺきにこなせるわけではありません。
たとえば、強い逆光や悪天候のときには、見えにくくなることがあります。
また、見た目が人に似ている物を間違って認識することもあります。

AIを過信せず、人の目によるチェックやルールと一緒に使うことで、安全性がさらに高まります。

アラヤの技術が選ばれる理由|画像から3D+AI導入支援の流れ

アラヤは、画像認識AIの導入を検討する企業に対して、企画から運用まで一貫したサポートを提供しています。
以下の流れで、一般的な導入支援を行っています。

一貫したサポート

ヒアリングと課題整理

お客様の現場環境や業務プロセスを詳細にヒアリングし、AI導入の目的や課題を明確化します。
これにより、最適なソリューションの方向性を定めていきます。

要件定義と提案

現場の課題に基づき、必要なAI機能やシステム構成を極めていきます。
また、既存のカメラやインフラを活用した効率的な導入方法を提案します。

PoC(概念実証)の実施

実際の現場データを用いて、AIモデルの性能や効果を検証します。
これにより、導入前に期待される成果を具体的に把握していきます。

システムの開発と導入

PoCの結果を踏まえ、AIモデルの最適化やシステムの開発を行います。
その後、現場への導入と運用のサポートに進みます。

運用支援と改善提案

導入後も、システムの運用状況をモニタリングし、必要に応じて改善提案や追加機能の開発を行います。これにより、継続的な効果の最大化を図っていきます。

アラヤの支援体制は、各企業のニーズや現場環境に柔軟に対応できるような体制を整えています。
詳細な情報や具体的な事例については、公式サイトをご参照ください。

【関連記事はこちら】

よくある質問

Q1.:フォークリフトAIカメラの導入にはどれくらいのコストがかかりますか?
A: 導入コストは設置台数や敷地面積、システム構成によって異なりますが、既存の監視カメラを活用することで初期費用を抑えることが可能です。
詳細は無料診断・無料相談にてお見積もりいたします。

Q2.:AIカメラはどのように危険を検知するのですか?
A::カメラが撮影した映像をAIがリアルタイムで解析し、人や車両の位置関係や動きを認識。
危険が差し迫った場合にはアラームや信号を即座に出して注意喚起を行います。

Q3: 従来のセンサー型検知システムとの違いは何ですか?
A::センサー型はタグ装着や高価な設備が必要なのに対し、AIカメラはタグ不要で、柔軟な検知エリア設定や複数人・複数台の同時検知が可能です。
エッジAIにより処理もスピーディです。

Q4:屋外や暗所でも正確に検知できますか?
A::はい、アラヤのAIカメラは昼夜を問わず高精度で認識できます。屋外の悪天候や暗所でも安定した検知ができるよう設計されています。

Q5:工場や倉庫以外の場所でも使えますか?
A:もちろんです。建設現場、物流センター、商業施設、空港など、人と車両が混在するあらゆる現場で応用可能です。建設機械の自動操縦AIプロジェクトなどでも活用が進んでいます。

まとめ|AIで作業現場の安全性を一歩先へ

車両と人の接触事故は、企業にとって深刻なリスク要因です。
アラヤのフォークリフト搭載カメラAIは、画像認識技術とリアルタイム警告システムにより、従来の安全対策の限界を超える革新的なソリューションです。

今後、より多くの現場でAIを活用した安全管理が進むことで、「事故ゼロの職場」が現実のものとなるでしょう。

執筆監修
代表取締役

金井 良太

【経歴】
2000年 京都大学理学部卒業
2005年 オランダ・ユトレヒト大学で人間の視覚情報処理メカニズムの研究でPhD取得(Cum Laude)米国カルフォルニア工科大学、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにて研究員JSTさきがけ研究員、英国サセックス大学准教授(認知神経科学)
2013年 株式会社アラヤを創業
2020年〜内閣府ムーンショット事業プロジェクトマネージャーとしてブレイン・マシン・インターフェースの実用化に取り組む
【受賞歴】
文部科学大臣表彰若手科学者賞
ET/IoT Technology Award(2019)、JEITA ベンチャー賞(2020)など多数受賞